- TOP
- カフェ経営のノウハウ
- カフェの開業の前に知っておきたい、「立地」の条件と選び方
自分の好きなものに囲まれて、おいしいコーヒーやスイーツをお客様に提供したい。そんな夢のカフェ開業を目指している方、新規飲食店の閉店率は知っていますか?新しくオープンする飲食店が10年後も生き残る確率は10%、開業後1年以内に閉店となってしまう確率は35%という厳しい現実の背景には何があるのでしょう。
飲食店が閉店となってしまう理由の一つに、「立地の問題」があげられます。立地は集客要素の40%を占めるといわれるほど重要な部分です。この記事ではカフェ開業前に知っておきたい、立地の関係性や条件、選び方について詳しく解説します。
目次
カフェ開業の立地はどう決める?
1.コンセプトと立地の関係
カフェ開業にあたって立地を選ぶときには、立地とコンセプトとの関係性が重要になってきます。カフェと一言でいっても、そのスタイルはさまざま。どのような年齢層の、どのような職種の人たちに、どういった目的で利用してもらいたいかという、明確なビジョンをまず持ちましょう。
例えば「オフィス街からほど近く、サラリーマンやOLのランチ利用・打ち合わせに適したカフェ」、「閑静な住宅街にあり、ペットやお子様連れに利用してもらいやすいカフェ」、「大学生や若者に人気のエリアで、SNS映えするメニューが人気のカフェ」など、具体的に想像をしてみると、これらが同じ立地で同じような店舗にはならないことは容易に想像できますよね。
また自分の中での最優先事項が何か、ということを決めるのも大切です。「人が遠方からでも集まる人気店」「ドリンクやフードのクオリティーの高いカフェ」「とにかく売上が良く回転率の高いお店」「自分の趣味が表現できるカフェ」「地域密着型のリピーターが集まるカフェ」といったポイントとコンセプトを合わせて決めると、立地条件も自ずと絞られてきます。
2.立地を決めるときの条件
立地を決める際の条件はいくつかありますが、特にポイントとなるのが以下の3つです。
- ・人口
- ・交通量
- ・住んでいる/利用している人の世帯構成や職業
回転率を重視するのであれば、人通りや交通量が多い駅前や学校・オフィスなどの施設の近くが良いでしょう。通行人がそのまま見込み客となるので、集客に関しては失敗も少なくなります。また客単価重視のお店であれば、賑わった場所から少し離れた場所でも大丈夫です。慌ただしい雰囲気ではなく、静かなロケーションで広いスペースを楽しみたいという人も多いので、駅から徒歩10分前後の場所の方が適していることもあります。
その地域に住んでいる人や、職場・学校に通っている人たちについて知ることも大事です。オフィスワーカーや学生のランチやお茶がターゲットであれば、高額な客単価は裏目にでることもあります。日常使いしやすい単価とメニュー設定に加え、気軽に入りやすい雰囲気づくりもしましょう。
また人の種類に付随して、そのエリアの地価・家賃・周辺環境、競合店などもリサーチすることは、どれくらいの客単価を設定するべきかの参考になります。若いママさん世代なのか、リタイアして悠々とした生活をしているシニア世代なのか、また同じ人を対象にしたカフェの有無によって、メニューや価格帯を変える必要があります。
こういったさまざまな要因を踏まえ、カフェのコンセプトと立地に合った客単価・回転率と1席あたりの目標売上金額を算出することが重要です。
立地の区分
ここではカフェを開業する際、知っておきたい立地の区分の種類と、特徴をご紹介しましょう。
【1等地】
駅前やメインストリートなど人通りが多く目立つエリア。家賃が高いので大手の有名チェーン店が多く、個人経営の中小規模のカフェ出店には難易度が高い。
【1.5等地】
1等地から少し離れるので、家賃は下がるが集客ポイント(デパート、ショッピングモール、学校、大型のマンションなどの施設)が近くにあり、通行量もあるのが特徴。人気が高く、空いている物件を探すのが難しい。
【2~3等地】
集客できるポイントとポイントの間にあり、通行量がそこそこある立地も多い。1等地、1.5等地に比べ物件取得費が安く抑えられるため、ある程度低投資コストで開業ができる。個人カフェ開業に向いている立地。
必ずしも1等地が一番良いわけではない?
人通りが多く注目度の高い1等地ですが、必ずしもメリットだけではありません。1等地に向いているお店と、1.5等地や2等地~が向いているお店はどういったものでしょう?比較をしながらみていきましょう。
【1等地が向いているお店】
1等地が適しているカフェとは、まず潤沢な開業資金が用意できるカフェです。通行量があり目立つ場所のため、物件取得にかなりの初期費用がかかることは想定しておきましょう。高コストというリスクはありますが、立地による集客力があるので、広告費なしでも人が集まりやすいメリットもあります。立地の分析と回収率についてのしっかりとした計画のもと、開業準備を進める必要があります。
【1.5等地が向いているお店】
1.5等地が向いているお店は、集客力のある施設が近くにあるため、ちょっとした息抜きや休憩などの、ついでのお茶のタイミングで使われるお店になります。集客を依存するため、お店のコンセプトやこだわりよりも、入りやすさであったり、居心地の良さが重要になります。この立地は人気も高く店舗を出すのも一苦労のため、根気よく物件を探すことが重要になります。またショッピングモールなどの場合、テナントで大手チェーンのカフェが入っているケースもあるため、サービスに気を遣ったり、座席が確保できゆっくり出来ることや、魅力のあるオリジナリティのあるメニューを用意するなど、差別化が必要になります。
【2等地が向いているお店】
カフェオープン初心者や、初期費用を抑えたい人、背伸びをしないスタートをしたい人に向いています。例えば、立地よりもコストパフォーマンスで飲食店を選ぶ傾向がある人も一定数いるので、価格と内容を冷静に比較した上でも選ばれるようなメニュー作りと客単価設定をするのもひとつの方法です。また、わざわざ来ていただくための目玉的なメニューを用意したり、比較的安めの出店費用を活かして、ゆったりとした店舗空間や特徴のあるお店にして集客を目指したり、接客などを工夫して、その周辺に住む人が普段使いしてくれる地域密着型のお店にするなど、カフェとしてのアプローチはさまざまです。そのため、対象とする人を明確にしたコンセプトづくりを綿密に行い、リピーターを獲得しやすいお店にすることが重要になります。
立地を選ぶ際の注意点やポイント
カフェ開業にあたって立地を選ぶ際は、決して「好立地」という謳い文句だけで選ばないようにしましょう。好立地のデメリットとして、家賃が高い、ランニングコストがかかるという点がありますが、細く長くビジネスを続けていくためには、「無理をしない」ということも大事です。また反対に単価が安いという理由だけで決めてしまうと、人通りも少なく集客に苦労するといったことも起こり得ます。
立地を選ぶ際のポイントは以下の3つです。
- ・商圏(集客できる範囲内かどうか)
- ・競合(他の類似した飲食店と客を取り合わないか)
- ・立地の特性(カフェのコンセプトとターゲット層に合っているか)
立地調査を行う際は、自分で国税調査のデータを集計したり、商圏分析ソフトを使ったりという方法もありますが、ただでさえ忙しい開業準備中には大変なことです。そういった場合は、民間の立地コンサルティングに依頼して出店アドバイスをもらうことで、より確実なデータのもと立地を選ぶことができます。
また、プロにお願いをするだけでなく、自分でも実際そのエリアに足を運ぶというのも有効です。1日のいろいろな時間帯でどれくらいの人通りがあるのかチェックし、街や通りの雰囲気を肌で感じるのは非常に重要です。
立地が悪くても工夫してカバー
立地が良くなくても、工夫次第で集客は可能です。まず大前提としてターゲットとする人はどんな人なのかを明確にし、その人がカフェに何を求めているかを分析、もし同じ人を対象にしている他のカフェがあるのであれば、なぜそのカフェはその営業形態なのか、そのカフェで満たしていないニーズはないのかを探し、これから開業するカフェで他店が受け止めきれていないニーズを、「オリジナリティをもって提供」し、「他店との差別化を図る」といったことであったり、実際に営業を始めた場合も、「提供するメニューや価格、サービスを継続的に精査していくこと」はもちろん、「定期的にカフェの情報をSNSなどで発信すること」なども大切になってきます。
また、上記のような準備・対応を入念に行っても、なかなかうまくいかないケースも出てくることもあると思います、ただ、当初の想定が間違っていないと思えるのであれば、「経営の迷いや不安があっても、ブレないコンセプトを貫き」、立地の問題をカバーすべく、「提供する価格や質の良いサービス、雰囲気の良さなどの強みをさらに打ち出す」といったような、お店の良さを理解してもらい、足を運んでもらえるための努力を続けましょう。
まとめ
カフェ開業にあたっての立地探しの重要性についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?単純に好立地を選べばいいということでもなく、コンセプト・ターゲット層・客単価・回転率といった、さまざまな要素を総合的に考える必要があることが分かりましたね。
なんとなく、という根拠のない理由は、ビジネスを成功させるために避けるべきアプローチです。自分自身でもリサーチと勉強をしつつ、立地コンサルティングなどを利用して、開業後もずっと長く続けていけるカフェを目指しましょう!