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- “ひとり時間”を贅沢に。ニューノーマル時代に対応する「自然に3密を回避できるカフェ」
新型コロナウイルスの影響により外食産業が大きく打撃を受けた2020年、外食の在り方は様々な形に変化しました。外食・中食市場全体の市場は2020年4月市場規模42%減と市場最大の落ち込みを記録し、また外食・中食市場における食機会食シェアは2019年と比較して-27%減、レストラン全体は34%から21%に激減しました。外食産業はコロナ前の状況に戻るのではなく、これまでとは違った形に再生・進化してくと考えられます。今回は、集団から個へと様変わりする日常に対応する“ひとり時間”を贅沢に過ごしながら「自然と3密を回避できる」カフェをご紹介します。2020年の外食業界の変化を振り返りながら、ニューノーマル時代に対応するカフェの在り方を解説していきます。
目次
2020年外食業界の変化
テイクアウト・デリバリーの定着
「2020年テイクアウトグルメを利用したか?」というアンケートに対し、全体の半数以上がテイクアウトを利用、特に20代女性は約7割が利用しているという結果となりました。(ぐるなび 2020年12月アンケートより)
急激な需要の変化から慌ててテイクアウトを導入したという店舗もあるのではないでしょうか。ですが、テイクアウト導入によるデリバリー費や資材費などのコスト増は否めません。これからはそれぞれの立地や店舗ニーズに合ったテイクアウトを展開し、利益を出す仕組みづくりをする必要があります。その内の一つとして低投資で始められる”テイクアウト専門店”があげられます。
例えば大手外食企業がキッチン設備のみの”ゴーストレストラン”を展開したり、これまでオフィス街やイベントの定番だったキッチンカーが住宅街やマンション前に現れるようになりました。飲食店にとって大きな負担となっていたデリバリー配送料を月額制にする”サブスクリプション”を導入する店舗も増えてきております。それぞれのお店のコンセプト・立地に合わせた、収益UPにつながるテイクアウトの運用方法を考えていきましょう。 テイクアウトの付加価値アップ対策についてはこちら
急速なデジタル化
店舗でのオーダーや決済についても非接触で対応できる店舗が急増しております。オンライン上で事前に注文決済し、レジに並ばずに商品を受け取ることができるモバイルオーダーの導入、某大手カフェチェーンでは事前注文決済「モバイルオーダー&ペイ」を2020年12月から全店舗に導入しています。 また入店後でも、タブレット端末による注文・QRコードセルフ決済でスタッフとの接触・対面を回避した新業態店舗が誕生するなど、デジタル化を後押ししています。今後さらに急速なデジタル化が予想されますので、非接触オーダーや複数決済に対応していく準備をしておきましょう。
衛生対策の強化
外食店舗では衛生対策を実施した上での営業が当たり前になりました。コロナウイルスが収束した後も、消費者の衛生面意識の向上により引き続き店舗の衛生対策は求められます。 改めてお客様が安心して入店できる基本的な衛生対策ができているかチェックしましょう。
- ・席の間隔を空ける
- ・店内換気
- ・レジ前にビニールシート
- ・会計時キャッシュトレーで非接触
一時的な対策をとっているお店も多いと思いますが、これからは持続的に3密を回避できる環境整えることが選ばれるお店のポイントの1つになります。人と対面にならないような席配置に変更したり、おひとり様専用席を設け“密集”を避ける。キャッシュレス、モバイルオーダーを導入し“密接”を回避する。また新規開業の場合は換気設備を整え自然と“密閉”を回避できる設計を整えることをおススメします。
“ひとり時間”を贅沢に。自然に3密を回避できる「上島珈琲店 虎ノ門店」
持続的に3密を回避できる環境を整えたカフェとして、2021年1月28日にオープンした「上島珈琲店 虎ノ門店」をご紹介します。 コロナ禍でも安心して利用できるよう、自然と3密が回避できる設計を採用し、ラウンジのような上質で洗練された“おひとり様”向けの空間を提供しております。
店舗には気軽に立ち寄れるカフェとしても、ビジネスカフェとしても利用できるよう、“ライトカフェゾーン”“ラウンジゾーン”“コワーキングゾーン”の3つのエリアを設け、ラウンジゾーン、コワーキングゾーンでは、仕事に集中できる半個室ブース席や、細部にまでこだわったPC利用に便利な席、ゆったり広めのソファー席などを設置しています。
新たなターゲット設定“おひとり様”にアプローチ
1.ターゲットである“ビジネスユーザーの快適さ”を追求し、全席の76%が一人掛け席。
2.店内に“ライトカフェゾーン”“ラウンジゾーン”“コワーキングゾーン”の3つにエリアを分け、利用シーンに合わせて席を選べる仕組み。
- ・ライトカフェゾーン:従来よりも換気循環できるように配慮された天井の高いビル設計。
- ・ラウンジゾーン:席を窓側に向け設置し、対面に人が座ることがない設計。テーブルに段差をつけ、飲み物等がこぼれても、PCにかからない工夫。
- ・コワーキングゾーン:スニーズガードを設置し、飛沫拡散を防止パーソナル空間を確保することにより、お客様同士の目線ができるだけ合わない席配置。一席ずつコンセントと照明を設置。
自然と3密を回避できる設計
- 1.密閉回避=従来よりも換気循環できるように配慮した天井の高いビル設計。
- 2.密接回避=スニーズガードを設置し、飛沫拡散を回避。
- 3.密集回避=席を横並びのレイアウトにし、対面での会話を避ける工夫。
客単価UPのしくみ
- 1.滞在時間が長くなる分旧店舗から、一杯コーヒー単価を400円→480円へ80円UPすることで、客単価UPさせ利益を確保。
- 2.物販棚はレジ横だけでなく、客席の合間に複数設置し、購買意欲UPを図る仕組み。
複数決済
- 1.複数決済を導入することで、会計前の購買意欲を促進させ客単価をUPさせる。
まとめ
外食業界はコロナ前の状況には戻るのではなく新しい形へ再生・進化していき、消費者の価値観も既に変化しています。
ニューノーマル時代だからこそ、思い切った業態転換・コンセプト変更が収益拡大につながる店舗に生まれ変わるきっかけになるかもしれません。立地、客層、業態、コンセプトを見直しお客様に選ばれる店舗になれるようチャレンジしていきましょう。